ホメオパシーのマテリアメディカについて
これまでホメオパシーをご利用いただいている方々から多くよせられた質問に対して、由井会長がQ&A形式で回答しております。

Q.コンビネーションはよくないと言っている人がいますが、こちらはどうなのですか?

A. ハーネマンは『オルガノン』の中でひとつの病気にひとつのレメディーが必要であるといっています。そして人は複数の病気が同時に存在しえると言っています。さらに、複数の病気が融合している場合、単体のレメディーでは治癒できないと書いています。

このことから言えることは、複数の病気が同時に存在する場合、病気の数だけレメディーも必要となるだろうということ、まして複数の病気が融合している場合、複数のレメディーを同時に出す必要があるだろうということです。

私の経験から言えることは、現在、こういうケースがものすごくあるということです。

どうしてあるかと言うと、たとえばDPTを接種することで、ジフテリアと破傷風と百日咳が一気に医原病として慢性化してしまうことがあります。自然にはジフテリアと破傷風と百日咳が同時に入る事は有り得ませんが、予防接種で人工的に簡単に起こってしまいます。症状を抑圧することでも簡単に複数の病気が存在するようになってしまいます。もともとの病気と抑圧によって異なる病気が形成されること、また薬そのものの害による病気が生じるからです。

こういう状況において免疫も低下し、同時に何個もの慢性病を抱えることは現代では当たり前になっているわけです。

予防接種などは複数接種していますから、二つ以上の病気が埋め込まれているわけですから、二つ以上に合うレメディーを出さざるを得ない状況があります。また私のようにひとつの病気を異なるレベルで3次元的にとらえ、同時にレメディーを出すやり方もありますが、それは単なるコンビネーションとは異なるということをご理解ください。

3次元処方をするためには、病理・生理・解剖を知り、どの臓器が痛んでいるのか? 生体ミネラルで不足しているものは何か?この人を病気にした出来事は何か?マヤズムは?医原病は?これらのすべてを知って初めてできるものです。

今の日本人をホメオパシーで治すために、私は17年かかって編み出したのです。特にオーガン(臓器)サポートレメディー、マザーチンクチャー、テッシュソルトなどは、主要レメディーとは違った形で助けになるものです。もちろん、慢性病はマヤズムと関係しますから、マヤズム的見地からの分析も欠かせません。

そもそもハーネマンと同時代のイージディ博士もレメディーをコンビにして出したところ、その効果に驚いたわけです。そして、イージディ博士は1833年の春(恐らく4月か5月)に、2つのレメディーを同時に使って治癒した233のケースに関する報告をハーネマンに書き送っています。ハーネマンは1833年6月15日付の手紙でこれに返答しています。

ハーネマンの返事は広範囲で肯定的なものである:

「親愛なる友にして同僚へ、
私が単なる偏見から、あるいはそれが私の学説に変更を引き起こすことになるかもしれないからといって良いものをあえて拒絶するとは思わないで欲しい。君も同じだと思うが、私はただ真実を欲しているのだ。

だからそのような幸運なアイデアが君に生まれたことを嬉しく思うし、君がそれを必要な時に限って使ってきたことを嬉しく思う。

"両方のレメディーが、各々別の局面から、ホメオパシー的に適切であると思われるケースにおいてのみ2つの薬剤は(最低限の投与で、または嗅覚によって)一緒に与えるべきである。"

そのような状況下においては、その処置が我々の技術の必要条件とあまりにも一致しているので敢えてそれに反対するものは何もない。それどころか、ホメオパシーは君の発見に祝辞を表されるべきなのだ。私自身、機会があり次第、それを実践に移そうと思う。そしてそれが良い結果となることに疑いは無い。ボーニンハウゼンが全く我々と同じ意見で、またそのように行動している事が嬉しい。

私も両方のレメディーは同時に与えられるべきだと思う。

ちょうど、患者にHepar Sulphを摂らせるか、嗅がせるかする時にSulpherとCalcareaを一緒にとるように、または患者がCinnabarを摂ったり嗅いだりするときSulphurとMercuryを一緒にとるように。それで、私が君の発見をまもなく発行される『オーガノン』の第5版に記して世の中に知らしめるのを許して欲しい。

しかしその時までお願いだからそれを君の胸に締まっておいて欲しい。また私が大いに尊敬するジャー氏(Mr. Jahr)にも同じようにしてくれるよう頼んで欲しい。私は同時にそこで、軽率に選んだ2つのレメディーを組み合わせて使う処方の濫用全てに対して抗議し、また真剣に警告する。」(Heahl, Vol. II, p. 85) (強調は追加した)

このようにハーネマン自身コンビネーションを高く評価し、オルガノンの第五版に紹介しようとしていたのです。これが実現しなかった経緯についてはまた機会があれば紹介したいと思います。


Q.どうしてこのようにホメオパシーは危険であるという考えが広まってしまったのですか?

A. もともとは『オルガノン』への理解のなさから、誤解から始まったと思いますが、ホメオパシーを一部の専門家だけが扱えるようにしたいという意図も、もしかしたらあったのかもしれません。

それはわかりませんが、高ポーテンシーは危険である、リピートは危険である、大量にとると危険である、コンビネーションでとると危険である、レメディーをとるとプルービングして危険であるということが、真実であるかのようになってしまったものと思います。

しかし、実際は、ホメオパシーほど安全な療法はありません。

それは英国国会も認めています。ですから、ホメオパシーを危険なものであるとすることは、セルフケアに最も適したホメオパシーを国民から遠ざけてしまうことになり、それはとても残念なことだと思うのです。もちろん慢性病の場合は、元々症状で出るべきものを抑えて対応した姿ですから、程度の差こそあれ好転反応というものがありますので、ホメオパスに相談していただきたいと思います。

また、長期間、薬剤で症状を抑圧した過去がある方の場合は、排泄反応が強く出るということは広く理解される必要はあります。


Q.毒物を希釈したレメディーは危ないって本当ですか。
A.ホメオパシーのレメディーは、ハーネマンの時代から、ほとんどが毒物を希釈振盪してつくられたものです。毒物を希釈したものが危ないというのは、ホメオパシーそのものを否定するようなものです。

実は、現代医学のように原物質を使って胃や腸から入るのではなく、まったく毒の物質がなくなるまで希釈した、叩いて活性化したものを直接自然治癒力(バイタルフォース)に作用させるもので、ホメオパシーは世界でももっとも安全な療法となっています。



Q.動物のレメディーをとるのは避けた方がよいという声も聞きますが。

A.ホメオパシーのレメディーで最も多いのが、植物由来のレメディーです。そして、鉱物、化学物質、元素、宝石由来のレメディー、動物由来のレメディー、病原体由来のレメディーがあり、そして月光や電磁波など不可視物由来のレメディーがあります。

ホメオパシーは「同種療法」と訳される通り、「同じようなものが同じようなものを癒す」という考えがあります。

人間が人間としていられない時に、動物が動物としていられない時に、植物が植物としていられない時に、人や動物や植物は病気になるのです。それはそれぞれの生物が本来の命を生きていない、すなわち、自然でいられない時に病気になるのです。

私たちが人間なのに自分の権利も言わず、いつも人に従ってばかりで、まるで犬のように生きているならば、「犬のお乳のレメディー(ラックカナイアム)」が必要となるでしょう。蛇のように執念深くなっていたら、蛇のレメディーが必要となるでしょう。恐怖になっていたら、恐怖の精神を宿した「トリカブト(アコナイト)」が必要になるのと同じことです。

そうやって自分が人間であるのに、人間本来の自然体とは異なる精神を抱えているならば、動物であろうと病原体であろうとなんであろうと、そのもの由来のレメディーが必要となるのです。

そうしてはじめて、人としての命を生きていないことの自己認識をし、自分本来の人生を生きることが可能となるのです。結局のところ、どのような由来のものであろうと、その人の病気のパターンと同種であることが大切なのであり、動物なのか、植物なのか、病原体由来なのかという分け隔てをする必要はないのです。

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