ホメオパシーのマテリアメディカについて
これまでホメオパシーをご利用いただいている方々から多くよせられた質問に対して、由井会長がQ&A形式で回答しております。

Q.クラシカルは「レメディーを必要最小限、単一処方」し、プラクティカルは「レメディーを多量、多種同時処方」だと定義している方がいますが、実際のところ、クラシカルとかプラクティカルってどう違うのですか?

A.ホメオパシーは、200年以上の歴史がありますので、いろいろな方が、いろいなやり方でホメオパシーに取り組んできた歴史があります。

例えば、現在、大多数のホメオパス(世界の90%近くのホメオパスがと言ってもよい)が取り組んでいる手法となっている、アメリカ人医師ケントが確立した手法も、その中の1つです。それがあたかもハーネマンの手法であるかのように「クラシカル」と呼ばれています。

したがって現代使われている「クラシカルホメオパシー」とは、厳密には、「ケントのクラシカルホメオパシー」を意味します。問題は、ケントはハーネマンの『オルガノン』の第5版までの内容しか知らないことと(最終版の第6版の内容を知らないこと)、ハーネマンの教えを十分に理解できていなかったためにハーネマンの教えと離れた独自の解釈をしてまったことにあります。さらに後世の人が「ケントのクラシカルホメオパシー」を誤解してしまったことにあります。

通常どこでもそうですが、「多くの人が言うと間違えたことも周知の事実になってしまう」ということに注意すべきだと思います。予防接種もしかりです。

クラシカルは「レメディーを必要最小限、単一処方」し、プラクティカルは「レメディーを多量、多種同時処方」だと定義している方がいますが、これは、乱暴で誤解を招く定義です。

プラクティカルは常にレメディーを多量、多種同時処方するわけではありません。多種同時処方するか、単一処方するかは、クライアントによるわけで、クライアントによっては単一処方する場合もある、つまり、クライアントに合わせて最適なレメディーを選択するように、クライアントに合わせて最適な手法を選択するのがプラクティカルアプローチということであり、クラシカルという手法(厳密にはケントのクラシカルという手法)は、いろいろなアプローチの中の一つでしかないということが理解されていません。

一つのドグマにとらわれず、いろいろな方法を用いて、クライアントを治癒に導く方法がプラクティカル、すなわち、文字通り、実践的な手法です。そしてそれは、実践志向のハーネマンが本来目指していたところのものです。ハーネマン自身、創造的試行と経験の積み重ねによってオルガノンを書き変えてきたように、チャレンジ精神をもつことで、更なる発展と応用の可能性があると考えています。

もしそれをプラティカルと呼ぶのであれば、私はプラクティカルでいいですし、ただ、ハーネマンの本当の教えをベースに実践したいと思っています。そういう意味において私はハーネマンのクラシカルホメオパシーでありたいと思っています。だから結局のところ、私に言わせると、クラシカルもプラクティカルもないのです。どれだけオルガノンを理解したかということです。ハーネマンが言いたいことをどれだけ理解するかということです。また、ホメオパシーに関して、多くの方が誤解して、自分の考えをいろいろと主張されていますが、オルガノンだけでなくハーネマンの過去の文献をしっかり調べた上で、事実のみを公表することが大切なことだと思います。

一方で、私は、世界各国のいろんな手法を研究し、試してきましてその結果、現在ここにいるわけです。その中で、ハーネマンの時代にはあまり存在しなかった、自己免疫疾患や発達障害、精神的なさまざまな問題や薬害・環境汚染、医原病といったものにも対応しなければならず、現代にあったホメオパシーのやり方を追求して、それを供給していくことが、私たちホメオパスの使命であると思っています。

ホメオパシーは流派にわけてとらえるものではなく、ホメオパシーはホメオパシーであり、私自身、潰瘍性大腸炎の病魔の淵からホメオパシーで救われたものですから、その祖ハーネマンへの恩返しという気持ちで一生懸命やっているのです。もし、流派があるとすれば、ハーネマンの志を継ぎ、ホメオパシーを実践するということで、「ハーネマニアン」と名乗りたいと思います。


Q.日本全国にはいろいろなホメオパスがいます。ある方は「日本には、独立したホメオパスの認定団体が存在しないから、ホメオパスが規範とする行動指針が明確になっていない。だから、日本のホメオパスも英国のホメオパス認定団体が定める規範に従い、ホメオパスとして活動することがの望まれる。」というようなことをおっしゃっています。一見、道理が通っているように思えますがいかがですか?

A.最初の前提が間違えています。

「日本には独立したホメオパスの認定団体が存在してない」と認識されていますが、日本には、正真正銘のホメオパス認定団体(ホメオパス職業団体)が存在します。

すなわち、"プロのホメオパスを認定するには必要不可欠となる、ホメオパス職業保険"を有した、独立した第三機関(非営利団体)である「日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)」という世界的にも認められたホメオパス認定団体が現存します。

権威ある世界最大のホメオパシー団体ICH(ホメオパシー国際評議会)のメンバーにもなっているこの「JPHMA」というホメオパス認定団体が日本に存在しているのですから、それを存在しないとすることはできません。しかもJPHMAは、正規教育機関(正規のホメオパシーの学校)を卒業された方、あるいは、正規のホメオパス認定団体の認定を受けたホメオパスの方には誰にでも、会員への門戸を開けているのです。

この方がどういう意図で日本にはホメオパス認定団体が存在しないと言っているのかわかりかねますが、日本のホメオパシー事情をきちんと調べていないのではないかと思います。

もし知っているとしたら、そこには間違った情報を発信しようとする何らかの思惑があると推測しなければなりません。いずれにせよ、現に日本にJPHMAという正規のホメオパス認定団体が存在し、JPHMAが定めるホメオパスが遵守すべき規範や倫理規定が存在するというのが事実ですから、ここでその間違いを訂正したいと思います。

次に「英国のホメオパス認定団体が定める規範に従い、ホメオパスとして活動することが望まれる」ということの意味が、「日本でホメオパスとして活動するにあたり、英国のホメオパス認定団体に属して活動することが望まれる」ということの意味だとしたら、それは少し違います。

というのは、海外のホメオパス認定団体における職業保険の適用は、自国で活動するホメオパスに限られます。たとえば、英国のホメオパス認定団体の会員になったとしても、日本で活動する場合は保険の適用外となってしまうのです。これはホメオパスとして活動するにあたり大きな問題となります。

そもそも、職業保険をもつということは、その職業団体が社会的に認められていることを意味すると同時に、万一、その職業を行う中で問題が生じてしまった場合でも、責任をもって対応する体制が整っているということを意味します。ゆえに職業保険のある職業団体(協会)に属することがプロフェッショナルとしての職業人の定義であり義務となるのです。国際的なレベルにおいても、この職業保険を有する職業団体に属するかどうかは大きな意味を持ちます。ICH(ホメオパシー国際評議会)のメンバー(各国の職業団体)として世界的に認められるための前提条件になっています。

したがって日本で活動するにあたり保険の適用外になるということは、職業保険を持たない職業団体の会員となることと同義であり、プロのホメオパスとは言えなくなってしまいます。 なぜなら、そうなるとクライアントに対して果たすべき責任を果たせなくなってしまうからです。このように、海外のホメオパス認定団体の会員となる場合は、その点が違ってきてしまうのです。

日本には、JPHMAというホメオパス職業保険を有するホメオパス認定団体が存在します。だから私としては、海外の正規ホメオパス認定団体の会員である方が、日本でプロのホメオパスとして活動するからには、是非JPHMAの会員となっていただきたいと思うのです。

ちなみに、JPHMAは、英国のHMA(英国ホメオパシー医学協会)、ARH(英国認定ホメオパス連合)と連携しており、医師であるなしにかかわらず、しっかりホメオパシー医学を勉強し、ホメオパスにたる知識と技能と資質がある者は、ホメオパスとして認定するという方針で設立された協会であり、プロフェッショナルホメオパスの認定をはじめ、ホメオパシー教育機関(学校)の認定も行っています。


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