すでにhttp://jphma.org/international/info_20120109.htmlや『ホメオパシー新聞』でご紹介した通り、スイス政府はホメオパシー医療についての報告書を提出しており、最近本の形で英語版で出版されています。この報告書について『世界の一流有名人がホメオパシーを選ぶ理由』(ホメオパシー出版)の著者であるデイナ・アルマン氏が記事を投稿していますので、ご紹介します。オリジナル記事はこちら
ホメオパシー医療に関するスイス政府の注目すべき報告書
デイナ・アルマン 実践ホメオパス
投稿日:2012年2月15日 7時56分
スイス政府は長年にわたって広く尊敬されてきた中立性の歴史をもつが、その為、議論の的になっている課題に対して、スイス政府から出された報告書もまた、その時の経済的そして政治的支持基盤が色濃く反映される他の国々による報告書よりも、必然的に真剣に受け止められることになる。世界の大手製薬会社の上位5社の内2社もがその本社をスイスに置いていることを考えると、この国は従来型医療に関心が深く、それへの偏見があるのではと思うかも知れないが、そうした思い込みは間違っている。
2011年の終わりごろ、スイス政府はホメオパシー医療についての報告書を提出しているが、これは今まで各国の政府によって作成されたホメオパシー医療についての報告書の中でも最も包括的な評価を提示しており、最近本の形で、英語で出版されたばかりである (Bornhoft and Matthiessen, 2011)。この画期的な報告書では、ホメオパシー治療は効果的であるばかりでなく、費用効率が高いことが証言され、ホメオパシー治療はスイスの国民健康保険制度の対象に値する事が結論付けられている。
このスイス政府によるホメオパシーそして補完代替医療 (CAM) についての調査は、スイス国においては、従来型医療の代わりとしての代替医療への需要が極めて高く、その使用が広範囲に広がりつつあることから、行われたものであるが、それは消費者ばかりでなく、医師/治療師の間においても同様の傾向である。スイス国民のおよそ半数がCAM治療を受けており、それを高く評価している。
加えて、スイス人医師/治療師のおよそ半数がCAM治療は効果的であると認めている。中でもとりわけ注目に値するのは、スイス国民の85%までもが、CAM治療が国民健康保険制度の対象となることを望んでいることである。
こうした事情を踏まえると、調査の対象となったスイス国民の50%以上が、従来型治療にだけ限定された病院よりも、CAM治療を提供する病院を選んでいるのは、驚くに当らない。
1998年の初め、スイス政府は、国民健康保険の適用範囲を広げ、ホメオパシー医療、伝統中国医学、漢方薬、人智学医療、神経治療を含む一定の補完代替医療をその対象に加える事を決定している。この補償制度は、スイス政府の調査によって、こうした代替医療の効能と費用効果が検証されるまで暫定的とされた。この暫定的補償制度は2005年に終了しているが、この時新たにもたらされた結果を元にして、スイス政府は、ホメオパシー医療とその他の幾つかの代替医療を再び健康保険の対象に加えた。国民投票では、事実上、国民の三分の二がホメオパシーを含む厳選された代替医療の幾つかをスイスの国民健康保険の対象とすることに賛同を示した為、その結果として、補完代替医療分野がこの統治機構の一部に組み入れられたのであった(Dacey, 2009; Rist, Schwabl, 2009)。
スイス政府による “医療技術評価”
スイス政府によるホメオパシー医療に対しての “医療技術評価”は、これまで実施された各国の政府のいずれの報告書より遥かに包括的なものとなっている。この報告書では、ランダム化二重盲検とプラセボ対照臨床試験を通してホメオパシーの実験を行い、慎重且つ包括的に証拠を検証しているばかりでなく、“実社会での効果”も評価に組み入れ、さらに安全性と費用効果をも含ませている。 報告書には又、広範囲にわたる前臨床調査(生理化学調査、植物学的研究、動物学的研究、及びヒト細胞のビトロ研究)への極めて包括的審査が実施されたことが示されている。
それに加えて、この報告書では、系統的レビューとメタ分析、結果研究、疫学的調査をも評価している。こうした幅広い審査によって、実施された調査をデザイン品質と実行品質(内的妥当性と呼ばれる)の視点から、そして、それぞれのケースがホメオパシーの一般的な実施方法に照らし合わせてどれだけ適正化されていたか(外的妥当性)の両面から慎重に評価している。外的妥当性が特に大事な議題である理由は、ホメオパシーについて調査を実施する科学者や治療家の中には、こうしたタイプの医薬についての知識が殆どないか全くない場合があるからだ(試験の中には、状態試験に殆ど使用されていないホメオパシー医薬を対象としていたり、特定の患者に通常指示されていない医薬を使用したケースが見られる)。この様な試験によって、ホメオパシー医薬には“効果”が見られなかったという必然的結果が示された場合、こうした試験自体が予めホメオパシーの効果を反証するように設定されていた・・・・・もしくは、これは新しい治療法の結果を評価する為に行われた単なる模索的試験(この手の模索的試験とはホメオパシーの体系を証明したり反証することが目的では無く、特殊な状態にある個人に対する特殊な治療法の評価だけを目的とする)というのが正しく正確な評価とされるべきだ。
前臨床基礎研究と高品質の臨床研究の審査結果から、スイス政府の報告書はホメオパシーのハイポーテンシ―薬は、調整効果(つまりバランス化と正常化の効果)と細胞または生体の特殊な変化を誘導する効力を持つことを確認している。ホメオパシー医薬にたいして行われた臨床試験の系統的レビュー22件の内20件までが、少なくともホメオパシーに対して好意的な傾向を検出している (Bornhöft, Wolf, von Ammon, et al, 2006)。
スイス政府の報告書は、ホメオパシーが特に上気道感染症と呼吸器系のアレルギーに対して効果があるという有力な証拠を提示している。報告書では、“上気道感染症/アレルギー反応”についての29件の試験を引用しているが、その内24件までがホメオパシーに対して有利で肯定的結果を示している。更に、ホメオパシー治療を従来型治療と比較した管理下臨床試験6件の内4件までが、従来型医療の介入よりもホメオパシー治療の方が効果的であった事を示している(もう一つの試験ではホメオパシー治療は従来型医療と等しい効果を持つとしている)。ホメオパシー治療のこうした結果のすべてに、通常従来型の薬物療法に見られる副作用が見られなかった。ランダム化プラセボ対照試験への単独評価では、16件の試験の内12件までが、ホメオパシーに対して有利で肯定的結果を示している。
スイス政府の報告書作成に携わった関係者達は、調査の全体的審査の一部に、ホメオパシーの臨床実験への否定的考察が含まれている事を認識している (Shangチーム, et al, 2005)。しかしながら、作成担当者たちは、実験へのこうした否定的見解がホメオパシー賛同者そして非賛同者の両方から、広く厳しく批判されてきた事実にも留意している。スイス政府の報告書では、Shangチームは、科学的調査報告作成にあたって広く認識されているQUORUM(定足数)指針さえ順守していなかった事実を挙げている (Linde, Jonas, 2005)。Shangチームはまず、110件のホメオパシー臨床試験を行い、それを同等量の従来型医療による110件の臨床試験と比較する事で評価を出している。Shangと彼の率いるチームは、高品質のホメオパシー調査は22件存在する一方、従来型医療についての高品質調査は9件しかなかったと決定づけている。それにも拘わらず、こうした高品質の調査の比較をせずに(これをしていたなら、ホメオパシーにとって良好な結果がもたらされたはずである)、Shangチームは、高品質のホメオパシー調査の殆どを無視するような基準を設定し、それによって彼らの主張する仮説や、ホメオパシー医療の効果は定かでないという偏見への擁護基盤を作り出している(Lüdtke, Rutten, 2008)。
スイス政府の報告書ではまた、“実証的医療”に於ける優れた先駆者として注目を集めているカナダ人医師、デイビット・サケットMDが、ある治療が効果的であるかないかを決定するにあたって、二重盲検ランダム化試験だけが有効な方法であると決めつけている研究者や医師がいることについて深刻な危惧を抱いていることにも付記している。こうした判断をする者がいるなら、その人はあらゆる外科的処置はすべて“非科学的”であり、又“実証されていない行為”であること認識するべきである。なぜなら、こうした処置の殆どは二重盲検ランダム化試験を受けていないからである。
私の個人的見解では、ある治療法が“効果的”であり、又“科学的に実証されている”事を判断する為には、効果的なものと効果的でないものを証左するはるかに包括的な判断基盤が求められる。スイス政府によって提示されたホメオパシーへの最終的調査結果は、二重盲検ランダム化試験とその他の証左を含んだホメオパシーへの評価であったが、その総合評価は、ホメオパシー医療はまことに効果的であると結論付けられている。
次回の論説では、スイス政府の報告書の証拠を元に、ホメオパシー治療における効能と費用効果について述べたいとおもう。
ここに述べた情報が記載されている冊子(この記事を執筆するにおいて、私はその内容を適切に引用してきたつもりである!)の裏表紙には次の様に述べられている:“この冊子には、保健医療の対象としてのホメオパシーの有効性、妥当性、安全性そして費用に関する健康技術評価(HTA)調査がすべて盛り込まれている。” この報告書はスイス保険当局の依頼によって実施されたものである。
REFERENCES:
- Bornhoft, Gudrun, and Matthiessen, Peter F. Homeopathy in Healthcare: Effectiveness, Appropriateness, Safety, Costs. Goslar, Germany: Springer, 2011. http://rd.springer.com/book/10.1007/978-3-642-20638-2/page/1 (This book is presently available from the German office of the publisher, and it will become available via the American office as well as select booksellers in mid- to late-February, 2012.)(NOTE: When specific facts in the above article are provided but not referenced, this means that these facts were derived from this book.)
- Bornhöft G, Wolf U, von Ammon K, Righetti M, Maxion-Bergemann S, Baumgartner S, Thurneysen AE, Matthiessen PF. Effectiveness, safety and cost-effectiveness of homeopathy in general practice – summarized health technology assessment. Forschende Komplementärmedizin (2006);13 Suppl 2:19-29. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16883077
- Dacey, Jessica. Therapy supporters roll up sleeves after vote. SwissInfo.ch, May 19, 2009. http://www.swissinfo.ch/eng/politics/Therapy_supporters_roll_up_sleeves_after_vote.html?cid=670064
- Linde K, Jonas W. Are the clinical effects of homeopathy placebo effects? Lancet 36:2081-2082. DOI:10.1016/S0140-6736(05)67878-6.
http://download.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140673605678786.pdf - Lüdtke R, Rutten ALB. The conclusions on the effectiveness of homeopathy highly depend on the set of analysed trials. Journal of Clinical Epidemiology. October 2008. doi: 10.1016/j.jclinepi.2008.06/015.
http://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(08)00190-X/abstract - Rist L, Schwabl H: Komplementärmedizin im politischen Prozess. Schweizer Bevölkerungstimmt über Verfassungsartikel «Zukunft mit Komplementärmedizin» ab. Forsch Komplementmed 2009, doi 10.1159/000203073.
(Translation: Complementary medicine in the political process: The Swiss population votes on the Constitutional Article “The future with complementary medicine”
http://www.ayurveda-association.eu/files/swiss_referendum_on_cam_-_forschkomplementmed_2009.pdf
※このスイス政府レポートは、2001年に書物の形式で出版されていたが、2006年に最終的にまとめられた。この日に照らして、2003年6月迄のホメオパシーリサーチにおいて、著者達は体系だったリビューとメタ分析を評価している。
著者紹介(Dana Ullman / デイナ・アルマン)
デイナ・アルマン MPHは、アメリカの主要ホメオパシー提唱者の一人。
「世界の一流有名人がホメオパシーを選ぶ理由」「ホメオパシーA-Z」「子供と乳児へのホメオパシー医学」「ホメオパシー発見」そして(ベストセラーの)「皆のホメオパシー医学ガイド(Stephen Cummings MD共著)」を含み10冊の書籍著者。
ディナはまた、ホメオパシー医学をテストする専門家の医学ジャーナルで200以上の臨床経験が継続的に発表され続けているEブックもにも執筆している。
このEブックは、「Homeopathic Family Medicine: Evidence Based Nano-pharmacology (ホメオパシー版家庭の医学:ナノ薬理学、そして、その計り知れない極めて有益な資源)」と題されている。
彼は、ホメオパシー書籍、テープ、レメディー、ソフトウェア、通信コースのアメリカの主要情報提供減であるHomeopathic Educational Servicesの創立者。
Homeopathic Educational Servicesは、North Atlantic Booksと共に35冊以上のホメオパシーにおける書籍を出版している。
ディナは、広く人気のあるwww.huffingtonpost.comに定期的にコラムを書いている(その記事へのアクセスは、ここをクリック!)