ホメオパシー新聞その6 週刊新潮の記事(「ホメオパシー」にハマっている有名人)に対しての見解

目次

週刊新潮の記事(「ホメオパシー」にハマっている有名人)に対しての見解

週刊新潮 vs 日本ホメオパシー医学協会
ホメオパシーを利用していた世界の著名人!

週刊新潮で日本の有名人がけっこうハマっているとしてホメオパシーが取り上げられましたが、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)では、世界の有名人が利用しているという事実を紹介したいと思います。

なお、情報ソースは、『The Homeopathic Revolution ── Why Famous People and Cultural Heroes Choose Homeopathy』(DANA ULLMAN著 North Atlantic Books刊)で、情報提供はホメオパシー出版になります。ホメオパシー出版によると、この本の日本語版の出版を予定しており、一般書店販売に先駆けて、 2010年9月25、26日のつくばで行われる第11回JPHMAコングレスにて販売すべく準備を進めているということです。

ホメオパシーを利用している世界の著名人を紹介する前に、週刊新潮の記事内容にコメントします。

ジャーナリストの藤倉善郎氏のコメントとされる一文 週刊新潮記事から引用

「病気の原因となる物質を分子すら残らないほど希釈して服用することで、自然治癒力が向上し、さまざまな病気に対応できると言われています。当然、飲んでも毒にも薬にもなりませんが、問題点は病状が悪化しても本来必要な医療を拒否する人がいることです。西洋医療を否定する傾向があり、治療を受けずに手遅れとなるケースもあるんです」

上記前半部分のコメントから、藤倉善郎氏はホメオパシーを理解できていないことがわかります。またホメオパシー療法をきちんと調査していないこともわかります。後半部分のコメント(問題点は……)に対しては、ホメオパシー新聞その4の中の(2)「通常の医療行為を拒否」でJPHMAの見解を示していますので参照してください。

このJPHMAの見解の一部が週刊新潮の記事中で取り上げられています。

週刊新潮記事から引用

「一方、日本ホメオパシー医学協会は、朝日の報道に反発し、見解を公表した。 <ホメオパシー叩きを目的とした情報操作であるように考えられます>」(週刊新潮記事から引用)

今回の週刊新潮の記事では、朝日新聞社科学医療グループのようなホメオパシーならびにJPHMAたたき一色の一方的な記事とは異なり、マスコミでもはじめて、ホメオパシー新聞に書かれたJPHMAの見解がとりあげられました。
また、取材を受けたJPHMA提携クリニックの山崎クリニック(佐賀県唐津市)の山崎実好院長のコメントも掲載されています。

週刊新潮記事から引用

「私は西洋医学の医者ですが、現段階ではアトピー性皮膚炎も喘息もアレルギー性鼻炎も治せない。でもホメオパシーによって、そうした慢性的な症状に苦しむ患者さんの状態が明らかに改善されたんですよ」

このようにホメオパシー療法を実際に使った多くの臨床経験がある医師の声を紹介するということは、ホメオパシーの有効性に対して正当な判断を下す適正な材料になると同時に、公正な報道において必要なことであると考えます。

ジャーナリストの藤倉善郎氏のコメントとされる一文 週刊新潮記事から引用

「たとえ病気が進行して症状が悪化しても、“好転反応”と言って、自己治癒力が高まった証拠になるんだそうです」(藤倉氏)

週刊新潮は、「ホメオパシー推進側の説明には不可思議な点も少なくない」として上記コメントを紹介していますが、上記コメントは藤倉氏の誤解に基づくコメントであり、JPHMAのコメントではありません。
この好転反応についての説明は、ホメオパシー新聞その4の中の(7)「ホメオパシーでは、病気の症状が重くなっても、自然治癒力が増した証拠の「好転反応」ととらえる。これが患者を病院から遠ざけているという指摘がある」でJPHMAの見解を示していますので参照してください。

全文を読みたい方は「週刊新潮」(8月26日号)をご購入ください。

ホメオパシーを利用していた世界の著名人

さて、最初に述べたとおり、世界の有名人に目を向けてみると以下のような人がいます。

女優
マレーネ・ディートリッヒ(Marlene Dietrich)
エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor )
サラ・ベルナール(Sarah Bernhardt)
キャサリン・ゼタ = ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)
アシュレイ・ジャッド(Ashley Judd)
ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)
ジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)
リサ・マリー・プレスリー(Lisa Marie Presley)
キム・キャトラル(Kim Cattrall)
レスリー・アン・ウォーレン(Lesley Ann Warren)
パメラ・アンダーソン(Pamela Anderson)
ジェーン・シーモア(Jane Seymour)
リンゼイ・ワグナー(Lindsay Wagner)
ルイーズ・ジェイムソン(Louise Jameson)
スーザン・ハンプシャー(Suzan Hampshire, Lady Kulukundis)
インドラニ・ハルダー(Indrani Haldar)

男優
オーランド・ブルーム(Orlando Bloom)
マイケル・ケイン(Michael Caine)
トビー・マグワイア(Tobey Maguire)
マイケル・ヨーク(Michael York)
アラン・ベイツ(Alan Bates)
ベン・ヴェリーン(Ben Vereen)

芸術家、ファッション界
モネ(Claude Monet)
ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)
ドガ(Edgar Degas)
カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro)
フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)
ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)
アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)
エドガー・ド・エヴィア(Edgar de Evia)
ハーディ・エイミス(Hardy Amies)
カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)
ヴィダル・サスーン(Vidal Sassoon)
ジェイド・ジャガー(Jade Jagger)
リンカ・シエラク(Lindka Cierach)
ピエール・ジャン・ダヴィッド(Pierre-Jean David)

音楽家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)
フレデリック・ショパン(Frederic Chopin)
リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)
ニコロ・パガニーニ(Nicolo Paganini)
ロバート・シューマン(Robert Schumann)
ジョルジュ・オーリック(Georges Auric)
ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud)
ユーディ・メニューイン卿(Sir Yehudi Menuhin)
ラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)
ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)

現代ミュージック界
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)
ジョージ・ハリソン(George Harrison)
ヴァネッサ・ウィリアムズ(Vanessa L. Williams)
ティナ・ターナー(Tina Turner)
シェール(Cher)
ピート・タウンゼント(Pete Townshend)
ポール・ロジャース(Paul Rodgers)
アニー・レノックス(Annie Lennox)
アクセル・ローズ(Axl Rose)
ボブ・ウェア(Bob Weir)
モービー(Moby)
ネリー・ファータド(Nelly Furtado)
ジョン・ファディス(Jon Faddis)
シャーリー・ヴェレット(Shirley Verrett)
カール・デイヴィス(Carl Davis)
ウェイン・ニュートン(Wayne Newton)

一九世紀の文豪
マーク・トウェイン(Mark Twain)
フョードル・ドストエフスキー(Fyodor Dostoevsky)
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)
コナン・ドイル(Sir Arthur Conan Doyle)
ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw)
チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)
アルフレッド・テニスン(Alfred Lord Tennyson)
W・B・イェーツ(W. B. Yeats)
ウィリアム・メイクピース・サッカレー(William Makepeace Thackeray)
オノレ・ド・バルザック(Honore de Balzac)
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(Longfellow)
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Thoreau)
ラルフ・ウォルドー・エマソン(Emerson)
ルイーザ・メイ・オルコット(Alcott)
ナサニエル・ホーソーン(Hawthorne)
ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)
ハリエット・ビーチャー・ストウ(Stowe)
ヘンリー・ジェームズ(James)
ラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore)

現代の文豪
ノーマン・カズンズ(Norman Cousins)
バーバラ・カートランド(Barbara Cartland)
ガブリエル・ガルシア・マルケス(Gabriel Garcia Marquez)
ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(Jerome David Salinger)

思想家・哲学者
ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)
ウィリアム・ジェームズ(James)
ラルフ・ウォルドー・エマソン(Ralph Waldo Emerson)

アスリート
デイヴィッド・ベッカム(David Beckham)
マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)
ボリス・ベッカー(Boris Becker)
ホセ・マリア・オラサバル(Jose Maria Olazabal)
ナンシー・ロペス(Nancy Lopez)
ウィル・グリーンウッド(Will Greenwood)
ケリー・スレーター(Kelly Slater)
ポール・オニール(Paul O’Neill)
ジム・バウトン(Jim Bouton)
ダヴィ・モンクティエ(David Moncoutie)
ガブリエル・リース(Gabrielle Reece)
ヘルマン・マイヤー(Hermann Maier)
ミスティ・ハイマン(Misty Hyman)
マリー・ヘレナ・プレモン(Marie-Helene Premont)
エルヴィス・ストイコ(Elvis Stojko)

政治家、平和運動家
トニー・ブレア(Tony Blaire)
マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)
エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)
ラザフォード・ヘイズ(Rutherford B. Hayes)
ジェームズ・ガーフィールド(James Garfield)
チェスター・A・アーサー(Chester A. Arthur)
ウォーレン・G・ハーディング(Warren H. Harding)
カルヴァン・クーリッジ(Calvin Coolidge)
ハーバート・C・フーヴァー(Herbert C. Hoover)
ウィリアム・スワード(William Seward)
ウィリアム・ロイド・ギャリソン(William Lloyd Garrison)
ジョン・タイラー(John Tyler)
ウィリアム・マッキンリー(William McKinley)
ジョン・ウィリアム・グリッグス(John William Griggs)
ホセ・フランシスコ・デ・サン・マルティン(Jose Francico de San Martin)
ベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli)
サルヴパッリー・ラーダークリシュナン(Sarvepalli Radhakrishnan)
K・R・ナラヤナン(K. R. Narayanan)

女性解放運動家、婦人参政権論者
エリザベス・ケイディ・スタントン(Elizabeth Cady Stanton)
ヴィクトリア・クラフリン・ウッドハル(Victoria Claflin Woodhull)
メアリー・コフィン・ウェア・デネット(Mary Coffin Ware Dennett)

ホメオパシーを支援した企業家、慈善活動家
ジョン・D・ロックフェラー(John D. Rockdfeller)
ハイラム・シブレイ(Hiram Sibley)
ジョージ・イーストマン(George Eastman)
チャールズ・ケタリング(Charles Kettering)
ジョージ・ワージントン(George Worthington)
ヘンリー・G・ステビンス(Henry Stebbins)
サイラス・ウェスト・フィールド(Cyrus West Field)
アレクサンダー・ターニー・スチュワート(Alexander Turney Stewart)
ヘンリー・キープ(Henry Keep)
ロズウェル・P・フラワー(Roswell P. Flower)
ジョン・エングリス(John Englis)
ジョン・マレー・フォーブス(John Murray Forbes)
ウィリアム・ポープ(William Pope)
ロイヤル・E・ロビンス(Royal E. Robbins)
ヘンリー・スタージス・ラッセル(Henry Sturgis Russell)
サラ・A・ポープ(Sarah A. Pope)
ビドル家(Biddle family)
アンソニー・ジョセフ・ドレクセル(Anthony Joseph Drexel)
ジョージ・C・トーマス(George C. Thomas)
ウィリアム・H・ブラウン(William H. brown)
ウィリアム・リグリー(William Wrigley)
ヴィクター・ローソン(Victor Lawson)
ロバート・サンダーソン・マコーミック(Robert Sanderson McCormick)
H・J・ハインツ(H. J. Heinz)
ジョン・ピトケアン(John Pitcairn)
アンドリュー・カーネギー(Andrew Carnegie)
フィービー・ハースト(Phoebe Hearst)
サミュエル・F・B・モールス(Samuel F. B. Morse)
ピーター・フェニモア・クーパー(Peter Fennimore Cooper)
ジョン・パターソン(John H. Patterson)

現代の企業リーダーと慈善家
スーザン・サミュエリ(Suzan Samueli)
ヘンリー・サミュエリ(Henry Samueli)
ナンシー・デイヴィス(Nancy Davis)

ヨーロッパにおけるハーネマンの患者、パトロン
バロン・マイヤー・アムシェル・ド・ロスチャイルド(Baron Mayer Amschel de Rothchild)
エルギン卿(Lord Elgin)
レディ・キナード(Lady Kinnaird)
ホープトン伯爵(Countess of Hopetoun
ケープル卿(Lord Capel)
レディ・ベルファスト(Lady Belfast)
レディ・ドラムンド(Lady Drummond)
メルフォード公爵夫人(Duchess of Melford)
ヘンリー・ウィリアム・パジェット(Henry William Paget)
ウィリアム・リーフ(William Leaf)
ロバート・ボッシュ(Robert Bosch)

英国王室
アデレード王妃(Queen Adelaide)
メアリー女王(Queen Mary)
国王ジョージ五世(King George V)
国王エドワード七世(King Edward VII)
国王エドワード八世(King Edward VIII)
国王ジョージ六世(King George VI)
女王エリザベス二世(Queen Elizabath II)
国王レオポルド一世(King Leopold I)

他ヨーロッパ諸国の君主
コンスタンチン・パヴロヴィチ・ロマノフ大公(Constantine Pavlovich Romanov)
ツァーリ・ニコライ
アレクサンドル二世(Czar Alexander II)
ニコライ・アドレルベルグ伯爵(Count Nikolai Adlerberg)
国王ゲオルク五世(King George V)
シュヴァルツェンベルク候カール・フィリップ(Karl Phillip von Schwarzenberg)
ウィルヘルミナ・アウエルスペルグ王女(Princess Wilhelmina Auersberg)
ヨーゼフ・ラデツキー(Joseph von Radetzky)
ヴィットーリオ・エマヌエーレ国王(King Vittorio Emmanuel)
女王イサベル二世(Queen Isabelle II)
ドン・セバスティアン・ガブリエル(Infante Don Sebastian Gabriel)
フリードリヒ・ヴィルヘルム四世(King Friedrich Wilhelm IV)
ヨーゼフ総督(Viceroy Joseph)

聖職者、精神的指導者
マザー・テレサ(Mother Teresa)
レオ一二世(Leo XII)
ピウス八世(Pope Pius VIII)
グレゴリウス一六世(Pope Gregory XVI)
教皇ピウス九世(Pope Pius IX)
教皇レオ一三世(Pope Leo XIII)
教皇ピウス一二世(Pope Pius XII)
教皇パウロ六世(Pope Paul VI)
ポール・カレン(Paul Cullen)
クロンシュタットの聖イオアン
隠遁者聖フェオファン
アレクシス・エスパネ神父(Alexis Espanet)
マクシミリアン神父(Pater Maximilian)
ファウスト神父(Pater Faustus)
J・M・ヴェイス神父(Father J. M. Veith)
セオドア・ドゥワイト・ウェルド(Theodore Dwight Weld)
セオドア・パーカー(Theodore Parker)
ヘンリー・ウォード・ビーチャー(Henry Ward Beecher)
ニック・アブドゥル・アジズ・ニック・マット(Nik Abdul Aziz Nik Mat)
サイード・アフメド・ハーン・バハドゥール(Syed Ahmed Khan Bahadur)
ラーマクリシュナ・パラマハンサ(Ramakrishna Paramhansa)
シュリ・オーロビンド(Sri Aurobindo)
ミラ・リチャード(Mirra Richard)
マダム・ヘレナ・ブラヴァツキー(Madame Helena Blavatsky)
スワミ・ラーマ(Swami Rama)
ヨギ・バジャン(Yogi Bhajan)
スリ・チンモイ(Sri Chinmoy)

(「ホメオパシック・レボリューション–世界の有名人・文化人がホメオパシーを選ぶ理由–<仮題>」(ホメオパシー出版 9月25、26日つくばにて販売予定)より紹介 ※ここで紹介した人物は、本書に登場する著名人の一部になります。

本書は、由井会長が日本語版の監修を行っており、まえがきにて、今回のマスコミ報道を意識した緊急メッセージを発しています。ぜひ、ご一読下さい。

監修者まえがき

後世に名を残す偉業を成し遂げた著名人のなかに、ホメオパシー(同種療法)の考え方に共感や興味を示していた人物がこれほど多くいた事実を知ることは、ホメオパシーの普及を願う者として誇らしく、またそのための活動に邁進するものとして改めて勇気を与えられます。しかし同時に本書には、すでにホメオパシーをよく知って利用している方々がその価値を再認識するためだけの「内向き」の本にとどまってほしくないとも考えています。ホメオパシーのことをまったく知らない、あるいはホメオパシーに効果があるとは信じられないという方々に、ぜひ本書を手に取っていただきたいのです。パラパラとページをめくっていただければ、馴染み深い人名がいくつも目に飛び込んでくることでしょう。本書を通じて広い角度からホメオパシーに触れ、心の片隅にでもホメオパシーへの関心が芽生え、そしていざというときにホメオパシーという選択肢を検討するきっかけとしていただければ、これにまさる喜びはありません。

日本では浸透が比較的遅かったことや、耳慣れないカタカナの用語のせいもあってでしょう、ホメオパシーはとかく目新しい療法という印象をもたれがちです。しかしハーネマンが類似の原則の医療への応用可能性に着目してホメオパシーという体系を構築したのが一八〇〇年代の初頭ですから、ホメオパシーにはすでに約二〇〇年の歴史があります。その後、一九世紀の欧米でホメオパシー療法が大きく開花し、現在までにどのような反動の荒波を乗り越えてきたかは、本書に記されている通りです。多少なりともホメオパシーの知識がある人であれば、どこかで耳にした断片的な情報も含まれていることと思いますが、このような切り口から膨大な情報を収集して本書をまとめ上げた著者ウルマン氏のご尽力には、心より敬意を表します。

本書では、文化人、スポーツ選手、財界人、政治家、宗教家など、各時代をリードしてきた人物とホメオパシーとの接点が紹介されています。彼らは医療の専門家ではないかもしれません。しかし彼らは、ひとつの道を極めた人物、多くの人を引きつけた人物、あるいは生涯をかけて真実を追い求めた人物たちです。ただ、名前はよく知られていても、彼らの生活者としての側面にスポットライトが当たることは案外少ないものです。ウルマン氏も述べているように、音楽も、科学も、自然も、医術も、「高い次元では相互に結びついている」とするなら、さまざまな分野で既存の枠組みに捕らわれず時代を形成した人物の共通項としてホメオパシーが浮かび上がることは、それだけでも注目に値することです。

さて、わが国でも明治時代以降、ホメオパシーの情報が徐々に入ってくるようになりました。しかしごく最近まで、使用者は海外からの情報ルートをもつごく一部の人に限られていたのが実情です。ただ、本書にも紹介されている医学の父ヒポクラテスの格言や、聖書の物語などにホメオパシーの原理が読み取れるのと同じように、日本の伝統的な民間医療のなかにも、自然治癒力を誘発するホメオパシーの発想が受け継がれてきたことが、文献の研究から近年明らかになってきています。日本最古の書物『古事記』にもホメオパシー的な考え方が紹介されていて、同種療法の思想は日本にも古来より息づいてきたことがわかります。

そして近年、特に一九九〇年代以降の日本におけるホメオパシー普及の勢いは目覚ましく、世界のホメオパシー界からも熱い視線が注がれているほどです。安価で良質なレメディーの供給体制が整うにつれ、日々寄せられる体験談の数は増え続け、ホメオパシーのない生活は考えられないという人が確実に増えつつあります。その急速な普及ぶりは、ホメオパシーの歴史にまた新たな一ページが刻まれつつあるといっても過言ではなく、その輪は当然、文化人やスポーツ選手のあいだにも着実に広がっています。そうした方々の実体験をまとめた本書の国内版が世に出る日も遠くないかもしれません。

ホメオパシーを語ろうとすると、常に入口の議論が重要になります。なぜなら、ホメオパシーのメカニズムを理解することは、そもそも病気とは何か、健康とは何か、癒しとは何か、という議論と表裏一体だからです。本書が人物の各論に入る前に、概論にかなりの紙幅を割いているのもこのためです。「症状=病気」ではないことに気づくことがホメオパシーの理解の最初の一歩です。ホメオパシーの目的は症状を抑圧することではなく、本来の治癒力を呼び覚ますことにあります。

自然治癒力を高める手だてとして、ホメオパシーではレメディーを使いますが、ホメオパシーのレメディーと一般の医薬品を隔てる最大かつ根本的な違いは物質の量にあります。化学薬品であれ、天然の薬物(生薬)であれ、また内服薬であれ、外用薬であれ、これまで医薬品は物質ベースで論じるのが大方の「常識」でした。一方、ホメオパシーでは、薬効物質の原子や分子がゼロ、あるいは天文学的な倍率にまで薄められています。ところが不思議なことに、希釈と震盪を繰り返した物質を摂取することで、驚くような治癒効果が得られたことを示す症例が積み上げられているのです。

ホメオパシーを説明するのに「毒をもって毒を制す」という表現が使われることがあります。これは「同種」に基礎を置く療法であるという側面では当たっているかもしれませんが、物質的な側面では当たっていないことがおわかりいただけるでしょう。物質としての毒物は事実上摂取していませんから、からだには負担がかかりません。したがってホメオパシーはきわめて安全性の高い療法なのです。レメディーを摂取することで体内に取り入れているのは、おそらくその物質の情報です。原材料の原子や分子がゼロになったとしても、それが存在していたことを示す痕跡は何らかの形でアルコール水溶液に保存されており、それを私たちの生体が認識することができると推測します。そしてその人のなかに類似のパターンが存在すれば共鳴反応が起きて治癒力が活性化されますが、存在しなければレメディーはからだを通り抜けるだけです。一般的に出回っているホメオパシーのレメディーは砂糖粒の形態が主流ですが、砂糖粒は転写媒体にすぎません。

いずれにせよ、ホメオパシーと物質ベースの医薬品とでは、作用のしかたがいかに異なるかが、ご想像いただけるのではないでしょうか。現代医学の発想の枠組みから理解しようとする限り、混乱や誤解を招きやすいのも無理からぬことです。著者は冒頭で天動説を唱えたガリレオを引き合いに出しています。いまとなっては周知の事実でも、当初は突拍子もない考えだと馬鹿にされたり異端視されたりした事例は、過去にいくらでもあります。しかし信じられないといってホメオパシーを切り捨ててしまうには、有力なデータや体験談が多すぎるといっているのが本書であり、またわたしたちの活動を通じた実感でもあるのです。

実体験には、机上の知識がとうてい太刀打ちできない力をもっています。一九世紀のアメリカでホメオパシーが草の根的に広がった背景には、ホメオパシーで家族の体調が劇的に改善した体験をきっかけに多くの母親がホメオパシーを真剣に学ぶようになったという事情があったことが紹介されていますが、同じことが現在の日本でも起きています。しかも、人はホメオパシーの真価に触れたとき、健康観、医療観のみならず、自然観、人生観などの変容を経験することが少なくありません。本書で紹介されている人物の多くが、ホメオパシーを単なる一療法としてではなく、みずからのライフスタイルと重ねあわせて熱く語っているのも、そこに理由の一端があるのでしょう。ホメオパシーの歴史は、時を越え、国境を越え、文化を越え、宗教を越えて、ホメオパシーの効果に感銘を受けた有名無名の人々の歴史でもあります。

本書ではまた、異なる医療のあいだの対立や足の引っぱり合いの歴史も浮き彫りにされています。科学や医学は発展途上です。当然ながらホメオパシーも発展途上にあります。それぞれの療法の有用性を高めてゆくことに力が注がれ、人々の心身の健康を願う純粋な思いを原動力に、それぞれの得手不得手を踏まえた役割分担というスマートな観点から、垣根を越えた協力関係が進むことを心から願っています。

2010年8月19日
Ph.D.Hom 由井寅子

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