スイスは、ヨーロッパの中でも、ベルギー、オランダ、ノルウェー、フランスなどとともに、補完代替医療の筆頭として、ホメオパシーが普及している国の一つですが、2005年にホメオパシーは、公的な医療保険の適用から外されました。しかし代替療法を求めるスイス国民からは抗議の声が多くあがり、2009年に国民投票が行われることになりました。その結果は、国民の67%の支持(反対15%)と全州の賛成という圧倒的多数で支持され、ホメオパシーを含む5つの代替療法が憲法で〝医療〟として正式に認められることとなりました。この結果を受けて、2012年に再びホメオパシーを含む5つの代替療法が公的医療保険の適用になることが決定しました。
昨年5月ドイツ、バーデンヴァイラーで開催されたロジーナさん(ドイツのホメオパス)主催のコングレスに参加し、由井会長の発表を聞いて感銘したスイス人のライターであるハンス・ピーターさんから、スイスのホメオパシー事情についての報告が届きましたのでご紹介したいと思います。
今年(2012年)の5月から、以下の5つの補完代替療法に対し、スイス政府が支援する健康保険が支払われることになります。
① ホメオパシー
②ハーブ療法
③伝統中国医学(TCM)
④人智学的医学
⑤自然療法
スイスでは、これらの中で、ホメオパシーが認知度、人気とも一番である事に疑いはありません。しかし、スイスにおけるホメオパシーの状況はダイナミックかつ複雑です。これについて簡潔にかいつまんでお話します。
スイスでは、ホメオパシーはとても根強い人気があります。人口の50%はホメオパシー商品を時折もしくは定期的に使っていると言えるでしょう。多くの人々は、ホメオパシーは作用すると見なし、副作用なく、現代医薬品の代替になると見なしています。彼らは、ホメオパシーが作用すると信じていますし、個人的経験から、実際そうである事を知っています。しかし、スイスの通常の製薬会社は、NovartisやRocheのような世界でも最大の製薬会社をはじめ大変強い位置にいます。
したがって、企業が多額のお金を使って政府に働きかけ、補完代替療法が広がらないようにする強力なロビー活動が存在します。年収マルチビリオンダラーの大企業と比較し、ホメオパシーの製造者は、経済的にちっぽけですが、公衆がホメオパシーや補完代替医療の効果にあまりに気づくと、これら大企業は財政的損失をこうむると考え、恐れているのです。したがって、彼らのロビイストは、スイス法律制定が「補完代替療法に友好的」にならない為にはどんな事もしますし、スイスメディック(医薬品認可機関)のような機関にその産業の人々を潜入させようとします。
補完代替療法を馬鹿にするキャンペーンはスイスではよく知られています。残念ながら、日本で生じている事に類似しています。幸運な事に、これらのキャンペーンは、かなりの数のスイス人の態度にはほとんど影響を及ぼしていません。しかし、もし強力なロビー活動と弁護士によって法律が変更されたら、より困難になってしまうでしょう。既に他の補完代替療法で、利用する事が難しくなっているものもあります。
アンチキャンペーンのリーダーで有名な一人は、Mr.Prof.BedaStadlerという人物で、多くのメディアのコラムニストです。彼はまた、スイスで、遺伝子組み換え商品を促進しています。
スイスより
ハンス・ピーター