不眠治療研究におけるホメオパシーの有効性について

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アリゾナ大チームの研究結果発表 (ICHゴードン書記官からの連絡)

ホメオパシー国際評議会(ICH)秘書官のスティーヴン・ゴードン氏から 不眠治療研究で、ホメオパシーが有益であるという結果の研究論文に つき、JPHMAに報告がありました。同論文は米国の Elsevier(エルゼビア)社発行 「Sleep Medicine」というジャーナル に 受理され、論文公開されています。抄録部分から紹介させて頂きます。 (※和訳 The Japan Royal Academy of Homoeopathy英国本校,及びCHhomスタッフ)

【論題】
コーヒーに関連する不眠歴を持つ若年成人の睡眠ポリグラフにおけるホメオパシーレメディーの効果

【研究者】
アリゾナ大学医学部 IRIS.R.BELL氏 他のグループ

※同論文のAbstract(要約)より概要を紹介する

背景:世界的に代替療法として周知のホメオパシーは、診断や治療については、患者の主観的報告に左右される。睡眠ポリグラフは、敏感な人の睡眠の質に影響を及ぼすホメオパシーレメディーの客観的効果を評価する現代的手法である。動物実験では、特定のホメオパシーレメディーを使用して、ノンレム睡眠の変化を示している。

●方法:若い成人男女(18~31歳)
標準人格基準で、Cynical Hostility(皮肉な敵意)もしくはAnxiety Sensitivity(不安感受性)のどちらかで 平均値以上を示した人、および、コーヒーによる不眠歴を持つ者が、この1 カ月間の研究に参加した。

睡眠ポリグラフの記録は、自宅において、週1回×連続2夜、合計8夜の記録がとられた。
(1&2夜, 8&9夜, 15&16夜, 22&23夜)

被験者(N=54)は、8番目の夜にプラセボを投与された(一重盲)、そして22夜にはNux vomica 30CかCoffea Cruda 30Cのどちらかの本物のレメディーが与えられた(二重盲)。

被験者は、睡眠ポリグラフの夜の就寝時間の気分状態を評価する質問票に回答した。

●結果:(プラセボでない)本物のレメディーを使用した場合、目覚め、睡眠期の変化、PSG(睡眠ポリグラフ計)、合計睡眠時間、NREM(ノンレム睡眠)を著しく増加させた。

身体動作記録、個人に関するスケール効果における変化はそれほどではなかった。

●結論:この研究では、ホメオパシーレメディーの効果の研究において、自宅で一晩中睡眠記録を取る事が実現した事が示された。研究結果は、同レメディーで行った動物実験の報告と全く一致するものではなかったが類似性は示されている。このメカニズムでは、レメディーによって、睡眠パターンについて非線形力学の初期の乱れが見られる場合もある。

以下、ECCH(欧州中央ホメオパシー協議会)のホームページには本研究を含め、睡眠へのホメオパシーの有効性を示す2つの研究が紹介されていますので、紹介させていただきます。

欧州中央ホメオパシー協議会(ECCH)ホームページから (関連記事和訳引用)

Objective Measures Show Positive Effects of Homeopathic Medicines on Disturbed Sleep
客観的測定によって示された、ホメオパシーレメディーの睡眠障害に対するプラス効果

ポリソノグラフ検査と呼ばれる睡眠時の客観的な検査方法による検査結果により、信頼のおける刊行誌 ‘Sleep Medicine’は2つのホメオパシーレメディーが、人が陥り易い睡眠パターンに効果があることを示していますという記事を発表しました。ポリソノグラフ検査は脳波測定や、眼球運動図(EOG)筋電図(EMG)心電図(ECG)など、睡眠時の様々な体の機能を測定できる検査です。 

今のところは、個々のクライアントに対する関連性を示唆する研究ではないが、2つのレメディーの睡眠障害に対する否定しがたい効果と、意味深い関連性は明らかであり、同じ2つのレメディーによる初期の動物実験においても、明確な結果をもたらしている。

欧州中央ホメオパシー協議会(ECCH)ホームページから (関連記事和訳引用)

9 September 2010
INDIVIDUALISED HOMEOPATHY EFFECTIVE IN SLEEP DISORDERS
睡眠障害におけるホメオパシーの有効性

ECCHは今年5月に、実際に行われた睡眠障害に対するホメオパシー療法の効果を要約した‘ホメオパシーで快眠を’というタイトルの文献を刊行しました。この文献には、Naude et al.氏の研究も含まれています。

最近発刊された定期刊行誌‘ Sleep Medicineの再考’によれば、Cooper 、Reltonの両氏がNaude氏の研究論文に言及していることは明らかです。2人の著者は不眠に対する系統的なホメオパシー療法の考察について述べていますが、ここにはNaude氏の研究は含まれていません。

Cooper 、Relton両氏の今回の系統的な考察においては、ホメオパシーのレメディー(もしくは希釈されたもの)を無作為に4回与える(RCTs)実験をすることでプラシーボと比較できると考えました。この4回の研究においては、毎回、あらかじめ決めておいたレメディー (特定のレメディーを特定の患者に与えるわけではない)を使用しました。Cooper 、Reltonの両氏は、Naude氏の研究では、患者の症状像から選んだ特定のレメディーを与えていると指摘しています。実験開始より4週間後、1週間の睡眠時間の合計において、プラシーボグループの34時間から35時間(満足な結果とは言えません)という結果と比較して、ホメオパシーのレメディーを与えられたグループは、35時間から41時間に増えました。したがって、今回の4週間に及ぶ実験の結果では、ホメオパシーの方がプラシーボより効果的であったことが立証されたのです。加えて述べるなら、ホメオパシーのレメディーを与えられたグループは、11人中11人全員が、睡眠障害のその後の経過において改善したと答えたのです。一方プラシーボグループに関して述べるなら、当初は改善されていましたが、その後症状は戻ってきたという結果になっています。

Cooper 、Reltonの両氏は、この結果については、今までの研究より被験者の数は少ないですが、この4回に及ぶ研究結果とNaude氏の研究と比較した場合の方法論的な質の高さを指摘しています。今回の結果は、将来的に有望であり、均一に高い系統的な研究結果やホメオパシーの特質の研究のために、より多くの被験者をもとに、行われるべきものです。

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