ヨーロッパ27カ国のホメオパシー協会が加盟し、約1万人のプロフェッショナルホメオパスが所属する団体が欧州ホメオパシー中央評議会(ECCH)です。さらにECCHを包含するホメオパシー国際評議会(ICH)があり、JPHMAも日本の代表として加盟しております。欧州委員会や欧州議会によるとヨーロッパ市民の22%がホメオパシーを日常的に使用しているということです。22%と言えば、約4人に1人です。非日常的に使っている人や使ったことのある人まで含めると、一体どれくらいの%にまでなるのか興味のあるところです。
皆さん、ご存知のようにヨーロッパと言えばハーブの本場。バジル、ローズマリー、タイムなどヨーロッパの料理には欠かせないものです。そして、そのハーブを使った自然療法のメッカでもあります。
昔からキリスト教会に所属する修道院の裏庭ではハーブを栽培し、それを使って修道士達が病気の人々に手当てをほどこした記録が沢山残っております。そのハーブに加え、19世紀以降、修道士達はホメオパシーを使って人々を癒していた記録も残されております。
○ホメオパシーの歴史(ヨーロッパ編)
ホメオパシーは18世紀の終わりにドイツのハーネマンが生んだ自然療法ですが、その当時、ヨーロッパ全土で強い影響力を持っていたアロパシー(現代医学の原型=西洋医学)の医師や薬剤師から激しく誹謗中傷され、政治的な圧力でホメオパシーを禁止しようとする試みも行われました。
それにも関わらず、効果を実感したヨーロッパの人々はホメオパシーを受け入れ、生活に浸透し、着実に広がってゆきました。特に王侯貴族や聖職者達はこぞってホメオパシーを庇護し、ホメオパス達を支援しました。科学や医学の発展した現在においても、ホメオパシーが偽科学とバッシングを受けようと歴代英国王室はぶれる事無くホメオパスを主治医とし、家族でセルフケアを行い、王立(現国立)ホメオパシー病院のスポンサーを通して国民に恩恵を与えていることは有名です。
○バチカンのホメオパシー支援
ホメオパシーがイタリアに到達したのは1822年頃ですが、当時のローマ教皇レオ12世、ピウス8世、グレゴリウス16世に温かく迎え入れられ特別な庇護を受けました。バチカンでホメオパスによる診療が行われていた他、教皇に直接仕えるキリスト教修道会イエズス会もホメオパスが診療にあたった記録が残っております。
○ホメオパシーを絶賛したナポレオン(フランス)
ロシアに遠征していたナポレオン軍ですが、1812年チフスによる兵士の疲弊が原因で撤退します。当時、この流行病にホメオパシーが優れた成果をだしたニュースはヨーロッパ全土を駆け巡っており、ナポレオンの耳にも届きました。早速、ホメオパスによる治療を受けたナポレオン。結果がすこぶる良好でした。その後もホメオパシーに信頼を寄せ、危険な種類の皮膚の感染病を治癒したと言われております。彼は「ホメオパシーは、印刷技術の発明以来の有益な発見だ」と述べ、フランスの全土の医学校でホメオパシーを学べるようにしたいと意気込んだそうですが、再び権力の座に返り咲く事はありませんでした。
その他、ロシアの王室ロマノフ家、歴代英国王室、スペイン王室(イザベル女王など)、オランダ王室、ドイツの王族等がホメオパシーを支援した事が話題となり、ヨーロッパ全土の一般大衆へも広がっていきました。
○自然療法ホメオパシーが叩かれる理由
ホメオパシーや各種ハーブ療法が深く浸透したヨーロッパにおいて、自然生活を好む一般のご家庭では、子供が風邪をひいたり、ちょっとした怪我をしたりすると、母親が「どうしたの?」とまず子供の患部に手を当て、次にホメオパシーのレメディーやハーブが詰まった薬箱をとりだしセルフケアを行うそうです。セルフケアで対処が難しい場合は、ホメオパスや医師へ相談する。自然な暮らしを選択できるヨーロッパは素晴らしいですね。
しかし、日本では国民がヨーロッパのようにホメオパシーを受け入れ、広がる事を懸念している方々がいるようです。
日本におけるホメオパシーの普及は、英国でホメオパシークリニックを開業していた由井寅子氏が、1997年にプロのホメオパスを育成するための教育と、一般向けのレメディーキットを活用したセルフケアのための講演を開始したところから始まります。それから僅か13年の歳月で、日本のホメオパシー人口は数十万人にまで急増し、一部の医師がホメオパシーを推奨しただけでなく、一部の大学の医学部ではカリキュラムにまで組み込まれておりました。
そんな背景の中、2010年に朝日新聞を筆頭にメディアの激しいホメオパシーバッシングが行われました。
それも事実を捻じ曲げた報道であっただけでなく、中立の立場から真実を追求する報道機関の役割を放棄し、ホメオパシー反対派の主張のみを洪水のように流す手法(ネガティブキャンペーン)がとられました。
そのキャンペーンのさなか、ホメオパシーに終止符を打つかのように登場したのが、日本の科学界の最高権威といわれる日本学術会議の金澤会長です。ホメオパシーは偽科学であるという趣旨の発言をした事はよく知られておりますが、その他、ホメオパシーが広がれば、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念される(参考1)という警告を国民に発信いたしました。
連日のように全国の新聞に掲載されましたので、はじめてホメオパシーという言葉を耳にする多くの日本国民は、ホメオパシーが広がれば、欧米のように日本も深刻な事態に陥ってしまうという危機感をもってしまったことでしょう。
しかし、前述したようにヨーロッパの人々がホメオパシーから多大な恩恵を受けてきた事実はあっても、ホメオパシーで困った事実はどこにもありません。患者が減ったり商品の売上が減ったりして『深刻な事態』になった人々はいるかもしれませんが……。このように考えると日本学術会議の異例の会長談話の意図も見えてくるのではないでしょうか?
日本で起こったホメオパシーバッシングを通して、一部の権威団体・報道機関・権益団体が一体となって情報をコントロールしている事実に直面し、国民一人一人が、流される報道を鵜呑みにせず、正しい選択ができるよう自分で調べ、自分の頭と感覚で報道に隠された意図を読み解く事が必要なのではないかと思うしだいです。
75% of European know about Homeopathy and of these,29% use it for their own health care.
(Source:European Comission)
75%がホメオパシーを認識しており、そのうち29%が自身の健康管理にホメ オパシーを活用している(欧州委員会)
22% of European make use of Homeopathic Medical Products.
(Source:European Parliament)
欧州市民の22%がホメオパシー製品を日常的に使用している(欧州議会)
65% of Europeans report they use complementary and alternative medicine.
(Source:World Health Organization)
欧州市民の65%が補完・代替医療をとりいれている(世界保健機構)
※欧州人口は、2010年現在、EU加盟国合計で5億人、周辺国、ロシア、ノ ルウェー、 アルバニア、ウクライナ、グルジア、スイスなど周辺国を含むと7億人。
(参考1)「ホメオパシー」についての会長談話
今のうちに医療・歯科医療・獣医療現場からこれを排除する努力が行われなければ「自然に近い安全で有効な治療」という誤解が広がり、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念されます。そしてすべての関係者はホメオパシーのような非科学を排除して正しい科学を広める役割を果たさなくてはなりません。
平成22年8月24日 日本学術会議会長 金澤 一郎
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