日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)コングレス ZENホメオパシー学術大会

第25回 大会 開催決定

ZENホメオパシー学術大会:ホメオパシーにはいろいろな手法があり、クライアントによって、その手法は選ばれるものであるという理論があります。JPHMAコングレスでは、ホメオパスたちの手法による治癒に導いたケースを聞くことができ、また、ホメオパスたちの日々の経験と学びも聞くことができます。

第24回JPHMAコングレス2023「国難の現実を知り自らできるベストをつくそう」
開催日:2023年10月14日(土) - 15日(日)|概要・プログラムを見る▶︎
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  • 第24回
  • 2023年10月15日
河田昌東
河田昌東(かわた・まさはる)
分子生物学者。 遺伝子組換え食品を考える中部の会代表/NPO法人チェルノブイリ救援・中部理事/OKシードプロジェクト理事

【来賓講演】「遺伝子を破壊・操作する技術の何が問題か」河田昌東(分子生物学者)

分子生物学者の河田昌東先生に「遺伝子を破壊・操作する技術の何が問題か」と題して講演頂きました。

まずは、メンデルの法則の発見から現代のゲノム編集技術までの歴史を教えていただきました。
1865年の遺伝という現象の発見に始まり、DNAの発見、突然変異と進化の関係、放射線による突然変異、DNA二重らせん構造、遺伝子組換え研究と安全対策会議、除草剤耐性作物の商品化、ゲノム編集技術と進み、2012年にはより効率の良いゲノム編集技術としてCRISPR-Cas9が登場しました。

放射線照射して突然変異を起こす技術は古くから存在します。
ガンマ線(電磁波)照射によるものが長く行われていましたが、最近は重イオンビーム(原子の粒子)の強力なエネルギーでDNAを壊す技術も開発されました。

自然界でも突然変異は起こっているのだから、自然突然変異と人工突然変異は変わらないと言われることもありますが、自然突然変異と人工突然変異は、厳密に科学的なレベルで言えば異なるのだそうです。

自然界では、自然放射線や紫外線などにより細胞のDNAは一日約2万か所が壊れています。このほとんどがDNA一本鎖切断であり、DNA修復酵素でほぼ正確に修復されます。この際にまれに起こる修復ミスが自然突然変異ですが、変わり方は、塩基が一つ異なるものに置き換わる場合がほとんどです。
従来の品種改良はこのような現象を利用してきました。

今、重イオンビーム照射とゲノム編集が話題になっていますが、どちらもDNAの二本鎖切断を起こしやすく、DNA修復ミスによる問題(大規模な遺伝子の欠損や他の位置への挿入)が多くあります。
しかし、変異が起きやすいことが、経済性が良い、産業化に向いていると捉えられてしまっています。
また、ゲノム編集特有の問題点として、オフターゲット(標的外遺伝子の破壊)、大規模なDNAの破壊、進化に対する逆行(自然突然変異はDNAの機能していない部分に蓄積されるが、ゲノム編集では機能している遺伝子を破壊する)もあるそうです。

そして、遺伝子操作技術は単なる技術的な問題だけではないようです。

生命操作の倫理的問題も教えていただきました。
すでに、豚の臓器を人に移植すること、皮膚細胞などから卵細胞を作ること、デザイナーベビー、筋肉増強など、技術的にはできるようになっているそうです。
しかし、これらの生命倫理に関わることにどのように対処すべきかの議論はほとんど行われていないとのことです。

また、遺伝子組換え生物やゲノム編集生物などが環境に出てしまった場合に、繁殖したらどうなるか、生態系にどのような影響があるのかなどはほとんど未解明とのことです。
さらに、フードテック(昆虫食、培養肉、スギ花粉症対策米など)も生命操作を産業の手段にしており、将来の自然生態系への影響に懸念があります。

放射線問題の専門家でもある河田先生は、トリチウム汚染水放出の生物学的な影響についても説明してくださいました。
タンパク質やDNAには水素原子がたくさん含まれていますが、これらの水素原子がトリチウムに置き換わったものをOBT(organic bound tritium 有機結合トリチウム)と呼びます。
OBTがどうやってできるかというと、例えば、光合成では、二酸化炭素と水と光エネルギーからブドウ糖を作りますが、この時にトリチウム水を取り込んでしまうと、トリチウムの入ったブドウ糖が出来ます。ショ糖などが加水分解する時にもトリチウム水が取り込まれれば、トリチウムの入ったブドウ糖や果糖が出来ます。タンパク質の加水分解でも同様に、トリチウムの入ったアミノ酸が出来ます。細胞は糖やアミノ酸からDNAやRNAを作るので、トリチウム入りのDNAやRNAが出来ます。
トリチウムからの放射線被ばくももちろんありますが、トリチウムは崩壊すると、結合を作らないヘリウムに変わってしまうため、その箇所の結合が切れてしまうという問題が起きます。これがOBT特有の問題です。
OBTは食物連鎖により濃縮されるため、今は問題が無くても長期的には大きな問題になる可能性があります。

最後に、生命現象についてはまだ不明のことが多いということで、素敵な研究を教えていただきました。
「トマトが乾燥や雨などの情報を超音波でやり取りしている」「蜜蜂の羽音を聞いて花が蜜を増やしたり、花と蜜蜂が音でやり取りをしている」。このような我々がまだまだ知らなかった自然界がこれから明らかになっていくでしょう。自然生態系の中で我々人間自身もひとつの生物に過ぎないんだということをしっかりと頭に入れてこれから社会を作っていく必要があると締めくくっていただきました。

講演に引き続き、由井寅子名誉会長との質疑も行われました。
安全性審査や表示制度の不足、規制自体の決め方の問題など社会的な側面についての議論が多く交わされました。
北海道の遺伝子組み換え作物規制では、住民をランダムに委員に選出し1年間をかけて規制案が作られ、議員が仕上げて条例化されたという民主的な良い事例を教えていただきました。研究は禁止しないが、栽培には知事の承認が必要で違反したら罰金というところに落ち着いたようです。その結果、北海道では遺伝子組み換え作物の栽培は行われていないとのことです。
一方で、トリチウム水は分離技術の提案があるにもかかわらず海洋放出が決められました。六ケ所村というより大きな問題があるために強引に進めたのではないか、というのが河田先生の見方でした。
国レベルを動かすことは大変ですが、上記の北海道の例や種子条例のように、地方からできることもあると希望を持つことが出来ました。

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